創作 彼らの旅 私の旅 久米島 「私も生きてて良かったって思える生き方がしたいです」帰りしなに、ソーダ水の君が言った言葉だ。迷いのない、いい笑顔だった。この世にまたひとり、バイク乗りが増えた。マスターにもそのことを早く伝えたい。でも、メールするのは何となく違う気がした。い... 2023.02.08 とあるbarの物語創作
創作 彼らの旅 私の旅 もうひとり来た めずらしく、開店早々に3組の客が入った。今日のお通しはミックスナッツだ。ヒーローさんの食事以外、手の込んだものは作れない。2組はハイボールとホタテとカニのマカロニグラタンを注文した。もう1組はグラスワインとブルスケッタ。ヒーローさんは調理台... 2023.02.04 とあるbarの物語創作
とあるbarの物語 彼らの旅 私の旅 ソーダ水の君とティラミス 「船の見送りって大好きだけど・・・やだなあ、寂しいわ」「ほんとですね。僕も泣きそうですよ」すすきのさんとつわものさんは、早朝ホテルを出発して松島までひとっ走り、東北最後のツーリングをしてきたそうだ。「松島も素晴らしかったですが、瀬戸内も負け... 2023.02.03 とあるbarの物語創作
創作 彼らの旅 私の旅 一つの旅が終わる 「明日のフェリーに乗ることにしました」「そうですか。それが賢明かもしれませんね」「私も急遽すすきのさんとご一緒して明日帰ります。東北ツーリングは次回に持ち越しですな」「そうですか。今週末には次の寒波がやって来るそうですから、また雪が降るでし... 2023.02.01 とあるbarの物語創作
創作 彼らの旅 私の旅 ソーダ水の君は帰りドラネコがやってきた 「帰っちゃいましたね」「うん、帰ってしまったね。ソーダ水の君」「彼女もバイク乗りになると良いですね。バクさんみたいに」「だ、だれ?それ」「あなたのことですよ、バクさん」「バクはウシちゃうやろ!いや、シカとちゃうやろ!」瞬間的に声に出てしまっ... 2023.01.31 とあるbarの物語創作
創作 彼らの旅 私の旅 紅一点 「こんばんは・・・」「いらっしゃい」ドアを開けて静かに入ってきたのは、あの彼女だ。いつか、カウンターで綺麗な色のソーダフロートを飲んでいた彼女だ。カウンターの男たちの視線がまっすぐに彼女に向けられている。料理中のすすきのさんの視線も、手元か... 2023.01.30 とあるbarの物語創作
創作 彼らの旅 私の旅 男は誰もみな 小牛田駅で乗り換えた電車に揺られながら、彼らのことを思い出していた。店番中の彼ら、温泉ドライブではしゃぐ彼ら。ふと笑いがこぼれた。まったくもって憎めないやつらだ。普段は働きづめで家庭サービスもして、疲れたとも言わずに日々頑張っているお父さん... 2023.01.29 とあるbarの物語創作
回想 彼らの旅 私の旅 温泉旅行 店の前には、既に2人のガタイのいい男たちが震えながら待っていた。大柄に見えるのは着ぶくれしているせいもある。まだ10時10分前だ。歩道には夕べ降っていた雪が残っている。「おはようございます。お待たせしてすみません」「いえいえ、待つのが好きな... 2023.01.28 創作回想
創作 彼らの旅 私の旅 お好み焼き対決 「どちらが先が良いですかね」「え?」「神戸風と広島風、どちらを先に出すと良いかな」エプロンを付けながら、つわものさんはそう言った。すすきのさんは、ふいに真顔になった。「そうですね・・・どちらかというと広島よりあっさりしているこちらが先でしょ... 2023.01.28 創作
創作 彼らの旅 私の旅 つわもの 2人のオートバイ乗りは白石城で無事落ち合うことができた。2人とも身体が冷えていたので、温泉へ立ち寄ることも検討したが時間が足りなかった。遅い昼食に白石城からほど近い老舗で白石温麺を食べ、4号線バイパスをひた走ってバーの前のホテルにチェックイ... 2023.01.23 創作