2010年夏
将来に希望が見いだせない日々が続いていた。最終目標だったハーレーに乗るどころか、再びバイクに乗ることも叶わないのではと思いつつあった。しかし、このままではあの世に旅立つときに後悔するだろうとも思った。
そんな時にハーレーダビッドソン試乗の情報を知った。当時は東京のはずれあたりに工場跡地の試乗コースがあって、そこでは安全に試乗できるとのことだった。(今は無いのかな、検索しても出てこない)大型免許無しでも、バイクに慣れていなくても女性でもオッケーとあった。
衝動的に試乗に行くことにした。何とかコースを一周し、けっきょく二車種試乗。倒れたバイクの起こし方まで教えてもらった。コツを知れば、あっけなくあの巨体を起こすことが可能なのだった。
試乗後、震えを伴うような、ふわふわと地に足の付いていないような感覚が続いた。愛車を手放し、バイクに乗らなくなってから十年のブランクがあったのだ。無謀な挑戦だったと、思い出すたびに怖くなる。
正直、日本で走るなら、自分にはハーレーは必要ではないと感じた。しかし、最終目標だったハーレーに乗る夢は叶ったので、ほぼ満足だ。
新たな目標は、無理のなバイクで気持ちよく旅をすること、かな。
なぜ最終目標がハーレーだったのか、今でも謎である。
そもそも片岡義男小説がきっかけというか、三好礼子に憧れて乗り始めたバイクなのだから、KAWASAKIが最終目標であるべきなのだ。
片岡義男の小説にはハーレーも登場するけれど、大好きだった作品に出てくるオートバイはKAWASAKIだ。どこでどう道を逸れたのか。
なぜ限定解除をしなかったのかも謎だ。自信がなかったのはわかるけど、とあるほぼ実用性のない免許取得に夢中になるのだったら、限定解除を目指しても良かったのだ。
我ながら理解に苦しむ人生だ。未知なる脇道が好きすぎるのだろうか。
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