あの当時はフィルムカメラを使っていて、たくさん撮ったはずの写真はネガフィルムやスライドのままカビて押し入れの段ボールの中にあると思われる。ほんの少しだけスキャナーで取り込んであった写真を使ってみたけど、画像が荒れてしまう。
単独で走ることがほとんどだった自分にも、走った距離に比例してたくさんの出会いがあったはずなのだ。だけど、遠い先の風景にしか視線を向けず、心は閉ざしたまま。そんな自分には、出会いというものに気づく余裕などほとんど無かったと思われる。
あの時も、振り返って写真を撮っていたら、対向車線に一台のバイクがとまった。何やら言いたげな風情だったけど、何も言わず、お互いに挨拶すらせずに彼は走って行ってしまった。いや、軽く片手をあげてお互いに微笑んだのだったかな・・・
その後、自分は山の茂みの中の大きな岩の上で昼寝を決め込んだのだった。熊も孤独も恐れることを知らなかった若い頃。振り返るとかなり恐怖だ。
昨年は6時間ほど再びライダーになった。今年は少し熱が冷めているけど、心の奥には密かにリターンを企む情熱が眠っている。
バイクの日に寄せて
★写真はかなり昔の岩手県の、たぶん八幡平。
コメント