あれほど大好きで何度も走った道なのに、記憶から消えていた。古いフィルムを見ていたら、忘れていた風景が出てきた。
ローカルな道がずっと続いていた「ふるさと緑の道」だ。
宮城県のホームページから引用すると・・・
宮城県政100年を記念して,昭和47年に設定した「ふるさと緑の道」は,全線約357kmが整備されております。
この道は,国県道・市町村道・林道を遊歩道で連結したものですが,奥羽山系ルート254km,北上山系ルート103kmが設定されており,県土を縦断する形で散策することができます。
ふるさと緑の道

ふるさと緑の道/ルートマップ

正確に言うと、全線オートバイで走れるわけではなく、途中途中が遊歩道になっている、というわけだ。
全線走れたら、どれだけ素敵だっただろう。渋滞知らずの静かな道が多いと思われ、かなり快適な道だったのではないだろうか。
オートバイに乗っていた頃の自分は、道は必ずどこかへ通じていると漠然と信じていた。
だから、迷っても、知らない道でも、よほどのことがない限りUターンすることはしなかった。
ある日、ふるさと緑の道を走っていて、ふと目に留まった脇道に心を奪われ、いつものように舗装道路を逸れて、未舗装路へ入り込んだ。
細い未舗装路には、点々と陶芸の工房らしき建物が数件、かなり離れて建っていて、さらにその先へ進むと急に道幅が狭くなり、そのまた先へ進んでいったら獣道になっていた。
さすがにこれはまずい、そうは思ったものの、もう一人の自分は同時にこう思っていた。
道は必ずどこかへ通じているはず。このまま先へ進んでも、山を越えて、どこかの道に出るに違いない。
午後遅い時間のこと。林の中はもう暗い。
オートバイを止め、しばらく考えて、引き返すことにした。
しかし、Uターンする場所などどこにもない。そのまま押し歩きしてバックするには距離がありすぎる。
山側に乗り上げるか、谷川にバイクの尻を落とすか、二つに一つだと考えた。
浅はかな自分は、谷川にバイクの尻を落として、ハンドルを切って方向転換を図るつもりだった。
しかし、思った以上の急斜面に身体ごと落ちてしまい、慌ててバイクを倒した。
あとは、半泣きになりながら必死でバイクをもとの位置まで引っ張り上げた。火事場のバカ力というものか。なんとか引き上げることができて、無事帰宅したのだった。
それ以降、道無き道の先に道はなく、勇気をもって引き返すことも大切だ。そう学んだ。
ほんとうに、カバだった。
※写真は、ふるさと緑の道沿いの風景だと思われます。
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