バーへ行くと、いつもの3人組がいつもの席にいた。カウンター席に座るまでの短い時間に「エスエスティーアール」という言葉が何度も聞こえてきた。
そうだ、もうすぐ2023年のSSTRが開催されるのだ。聞き耳を立てていると、どうやら3人のうちの2人が参加するようだ。
参加しないと思われる1人はこう言っていた。
「俺はラリーとか向いてないから。ゆったりできないツーリングなんて、温泉に入れない温泉宿のようなものだから」
と、よくわからない発言をしていた。
「今夜は何飲む?」
「生ビールでいこうかしら」
「今日のお通しはタコのバジル風味だぞ」
「ねえ、留守番さんたちもSSTRに参加するの?」
「ああ、すすきのさんとヒーローさんは毎回行ってるな」
「へえ、あの2人が。その翌月に北海道というのは、さすがにきついかしら」
「いや、彼らにとって500~600kmなんて、普通に走れる距離だから影響ないだろう」
「そうなのね。出発はどこからかしら」
「それが問題だな。応援に行く?」
「行きたいけど予算的に無理ね。北海道の費用をとっておかないと」
「だよな。俺もバー休めないし」
「まあ、SNSで応援すると思うけど」
「そうね。私も毎年SSTRのシステムとSNSで応援してたわ」
「そういえば、現地に行ったんだよな」
「そうそう。平日の静かな日に数人にゴールで手を振ってきたの」
「本当は現地の人たちと大騒ぎしながらたくさんのオートバイ乗りに手を振るイメージだったんだけど、宿の夕飯時間が気になって早々に引き上げちゃった」
「それに、実際に参加しないと盛り上がりに欠けるよな、現地では特に」
「そうなのよ。特に徒歩で行った身としてはちょっと場違いな感じがしたりして」
「参加することに意義がある、そんな感じのラリーだよな。彼らにしかわからない感動とか何かがあるんだろう」
ヒーローさんは奥さんとタンデムでの参加だそうだ。夫婦で感動を分かち合えるなんて、なんて素敵なのだろう。そんなパートナーに出会える人というのは、けっこういそうだけどそうでもないのかな。
今年も仕事の合間に、パソコンの前で彼らを応援しようと思う。バーで飲みながらでもいいけど、千里浜のライブ動画とSSTRのシステムマップとSNSの画面を同時に見ながらとなると、自宅が一番適しているように思う。
ちょっとした酒とつまみを用意して、今年もまた楽しませてもらおうと思う。知っている人が参加するとなると、テンションも上がりそうだ。
がんばれみんな。好天を祈る。
そうこうしているうちに、北海道への旅立ちが迫って来るだろう。準備も進めないといけないな。
つづく
コメント