近況報告(実話編) 遠刈田温泉へ 優しい人たちがいた

2024年6月13日(木)

晴れ 最高気温29度 気持ちのいい風

早寝というのはなかなかできるものではない。しかし、寝ないと翌日きちんと辛い。その朝は、美しい快晴。疲労感は抜けていない。スッキリしない気分で出発。自転車置き場が開く時間をかなりすぎて到着。

自転車をとめ、借りているバイク置き場まで10分超歩いて、荷物積んで身支度して、出発は7時頃になってしまった。理想を言えば、夜明け前に出発したいのだが。太陽はすでに高く上っている。

250TRのエンスト癖にビビりながら、まだ慣れない自分に不安感を抱きながら、2回目のツーリングへ。目的地は蔵王、遠刈田温泉。2年前の秋、レンタルセローで行った場所。蔵王のすそ野で立ちごけして足が挟まった場所。

風が気持ちいい、梅雨の前の季節。空は青空。出遅れてもまだ出勤時間帯前なのに、主要道は車多し。それでも渋滞は皆無でぐんぐん進む。というか、急いでいる車が多く、のんびり走っていられない。

アップスピードの列から逃れて、コンビニでお茶と芋のおやつ。レジの青年がちょっと素敵だった。 ここまでの道程、エンスト無し。一昨日は何だったのだろう。やはり私の操作ミスなのか?

いやー、アクセル戻すとアイドリング消えそうなほど低かった気がするけど・・・気のせいだったのかしら・・・快調に進む。このバイクで良かった。レッドバロンで良かった、のかも。

村田にさしかかると、蔵の街という案内板を発見、ルートを変更して行ってみると、素敵な蔵の並ぶ通りがあった。今まで知らなかった場所だ。

田んぼと蔵王の絶景ポイントをスルー。写真が撮れなかった。後続車がいて、スピードも出ていたので止まれなかった。

見慣れた道を進んで温泉到着。オープンちょい前。刈田峯神社を参詣する。遠刈田温泉の共同浴場 神の湯の前には、すでにおばあさん、おじいさんが待機中。

常連らしき4~5名のおばあさん、おばさんと一番風呂をいただく。熱いお湯、気持ちがいい。適度なつるすべ感の透明なお湯。
 
疲れが出ないように、ほどほどで湯から上がる。着替えて脱衣所から出ようとすると、すぐ後ろにおばあさんがいた。

「お先にどうぞ」と言うと、逆にどうぞと言われる。

「バイクでしょ?これからどこに行くの?」と笑顔で聞いてくる。

「そうなんです。25年ぶりなんです。人生最後にもう一度乗ろうと思って・・・もう帰るんですけど」

少女のような好奇心いっぱいのおばあさんは、出口までずっと後ろからついてくる。ベンチで休もうとして立ち止まった私にこう言って、名残惜しそうに去って行った。

「バイク、気を付けてね」

前回こけた素敵な場所へは行かないことにした。スマホで帰りの道をチェックして、ゆっくり休んでバイクを止めた場所に戻った。

荷物をまとめていると、足の不自由なおばあさんと姉妹らしきもうひとりのおばあさんがバイクの隣の車に戻ってきた。

「バイクなの?」

「そうなんです。25年ぶりなんです。人生最後に~」

私はこのセリフをこれから何度口にすることだろう。一昨日の作並温泉の女将にも、たしか同じことを言った。

「バイク、気を付けてね」

2人のおばあさんの車が去って行った。もたもたと身支度を整えていると、バイクの横のスロープをおじいさんが歩いてきた。バイクの横のちょっと上の位置からこちらを見ている。

あ、何ccオジサンかしら・・・と思っていると、おじいさんが言った。

「バイクか~?どっから来たの?」

と、いろいろぽつりぽつりと聞いてくる。

そして私はまた同じセリフを言うのだった。25年ぶりで・・・

駐車場へ向かったおじいさんが、軽トラの窓全開で目の前にゆっくりと走ってきた。窓から右手を出して、笑顔でこう言った。

「バイク、気をつけてな~」

なんだ、ここは。おばあさんも、おじいさんもみんな優しい。神の湯の番台のおばさんの笑顔もとても素敵だった。

みんな、男か女かわからないような、こんなくたびれた顔の老婆ライダーに不快な顔をするどころか、優しい言葉をかけてくれる。

もっと歳をとったら、バイクに乗れなくなったら、温泉街で暮らそうか。朝風呂に入る老人たちは、皆素敵な笑顔だった。浴室内にも、常連さんたちの人間関係のいろいろがありそうな気配ではあったけど。

スマホ、グーグルマップ、たしかに便利だ。渋滞ポイントや、曲がるべき交差点の名前などもすぐわかる。

ガラケーだけで生きていける自信はあるが、スマホに変えておいて良かったかも。でも、紙の地図もほしい。ルートを頭に記憶させて、エンジン始動。

帰りはローカルな道を選んで、しばしポツンと一台と一人状態。制限速度以下で快適に走る。この道は、2年前に、曲がったブレーキレバー、傷んだ腰と足の痛みを耐えて必死で走った道だ。

昼頃、無事駐車場に帰り着いた。まだ熱い250TRにカバーをかぶせ、ロックチェーンをかけ、またねと言う。

ジャケットを脱ぎ、荷物をまとめて徒歩で駐輪場へ向かう。ほどよく疲れた身体に、陽光が熱かった。風を切って走る自転車。髪に風が通るのがとても気持ち良かった。

エンストは一度もしなかった。KAWASAKI病は気のせいだったのか?KAWASAKI、250TR、大騒ぎして( TДT)ゴメンヨー

バイクを止めたすぐそばのマンションのベランダに一羽のカラスがとまっていた。何か喋っているようだった。もしかして、私のバイクを守ってくれている八咫烏と会話しているのか?などと、ふと思うのだった。

おわり

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