彼らの旅 私の旅 ファジーがいい(創作です)

「おー、来たか。寒いからホットワインか?」

「梨マッコリがいいな。。。無いよね」

「あるよ」

「うそ、何であるのよ」

「無いものはないって言ってるだろ。でも何でマッコリ?」

「ちょっと風邪ひいてて、梨って肺を潤すって聞いたから」

「それは知らなかったな、ほんとかな」

「ところで、北海道、そろそろ準備しないとな」

「フェリー予約したの?」

「あ、まだ」

「あ、あたしもまだ」

「シーズンちょい前だからさ、そんなに混まないとは思うんだよな」

「だよね、あたしもそう思って。長期予報に合わせて調整しようかなとか」

「他のみんなはどんな感じ?」

「ああ、反応は鈍いな。はっきりした答えはほとんど来ない」

「でもまあ、いいわね、そのほうが」

「なんでさ」

「だって、何月何日何時何分、どこどこに集合、絶対来いよって言われるのと、来れたら来てねって言われたのと、どう感じる?」

「来いよの方が良くないか?大歓迎されてる感じでさ」

「てかさ、行けたら行くよ、わかんないけど(笑)って言ってた人たちが、当日になったら時間バラバラでいつの間にか全員そろってて、へらへら笑いながら酒飲んでるって良くない?ひとりひとり顔見たら泣けてきそうじゃん。あ、来てくれたんだなって」

「まあな、俺も絶対来いって言われた時点で楽しさ半減するタイプだけど」

「そうそう、それ。逆に、絶対行きます!って言ってた人が来ないとものすごくがっかりするし、当人も罪悪感でしょ」

「それあるな」

「でさあ、行けないかもって言ってた人が本当に来ないと、ものすごく心配になったりして」

「まあ、何事もファジーってやつかな」

「そうそう、ファジーって感じがちょうどいい。確実とか約束とか、絶対とか、そういうのは自由を半減させてしまう。楽しさも義務になっちゃう」

「でもさあ、その日その場所ってのは決まってる。それだけは確実だよな」

「そうね。ファジーが一点に集中するとものすごく楽しくて感動的なのよ」

「なんだそりゃ」

「梨マッコリ、うまーい。つまみはヤンニョムチキンかな。ある?無いわよね。。。」

「あるんだな、それが」

「わぉ!」

おわり

コメント

タイトルとURLをコピーしました