🏍東北自動車道北上中の某オートバイ乗りの独白🏍
俺はここまで頑張ってきた
地位も名誉もあれば金もある
幸せな家庭もあればいくつかの趣味も本格的に楽しんでいる
世間でいうところの勝ち組だ
だけどなんだこの満ち足りなさは
これは欠乏感というものなのか？
不思議なことに金も名誉も地位も無いやつらは
俺が持っていない何かを持っている
それを今俺は確実に感じている
何人かのそういうやつらと接触してみたが
それが何なのかまだわからない
金も無いのにバイクに乗りたいと呟き続けるばあさんに
バイクを貸そうか資金を貸そうかと丁寧に申し出たが
惜しげもなくお断りしてきやがった
俺にとっては夢を叶える手伝いをちょこっとしてやろうと思っただけなのだ
相手にとっては一生に一度あるかないかのチャンスでもあったはずだ
金も地位も名誉もない家族もない
世間でいうところの負け組のやつらほど
俺の持っていない何かを持っていると俺は感じている
今の俺がわかっていることは
金で買えないものがいくつかあるってことだ
ばあさんはそれを見せつけやがった
それは何なのか
俺はそれを知りたくて衝動的に旅に出たのかもしれない
もうすぐ宮城インターだ
宿を取るかあるいは走り続けるか
そういや腹が減った
ん？あのbarには留守番が来ているはずだな
寄ってみるか・・・
つづく
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