今日、自転車で、往復約8kmを強風の中走りながら、ふと思った。
横風に煽られながら走る時、自転車でもオートバイでも、ハンドルを風の吹いてくる方向に小刻みに切りながら直進するよな、と。それを、当て舵と言ったかな?
当て舵とは、文字のごとく、船の操船方法の一つである。調べてみたら、ヘリコプター、ドローンなどでもそういう操縦方法があるらしい。同時に、車やバイクのコーナーリング時などの、逆ハンとかカウンターステアという言葉も出てきた。
横風に対してハンドルを切るのは、どちらかというと船に近いのかなと思う。まっすぐ走るために、ハンドルを切る。矛盾するようだけど、風の圧力で流されることに抗うためには必要な方法だ。
ちなみに、Weblio辞書にはこう書いてある。
゛船首が曲がりすぎるのを抑えるための舵のとり方であり、手馴れた操舵手であれば、船の微妙な動きを掴んで、常時舵取ることができる。このとき舵は大きく切るのではなく、少しだけ反対に切ることで操舵調整を行っている。”
人生にもそういうことってけっこうあるよなと思ったりする。まっすぐ生きていきたいのに、横から斜めから後ろから、望まない風が吹いてきて、強すぎる場合は行きたくない方向へと流されてしまう。
小刻みにハンドルを切りながら、行きたい方向へと進めれば良いのだが、そうもいかないことが多かったりする。乗り物も、人生も同じようなものだ。
流されるままに進んでも、もしかしたら面白い所へ行きつく場合もあるかもしれないけれど、壁にぶち当たったり、側溝に落ちたりして怪我をするとか、悪い場合は命を失くしたりしかねない。オートバイの場合なら、反対車線の車に正面衝突という場合もあるかもしれない。
思い出の中には、強風の中を走った思い出がけっこうたくさんある。強烈だったのは、鹿島台という地域の田園地帯の直線道路を走った時のことだ。二車線の舗装路だったと記憶する。
半端ではない強風が横から吹き付け、風は一向に止む気配がない。田園地帯のため、何も遮るものが無いどころか、ガードレールすら無かった。風を除けて一時避難する場所も無い。速度を落として直進を続けたが、反対車線のそのまた向こうの田んぼへと、軽いオートバイは流されて行くのだった。
ヘルメットの中で半泣きになりながら、風のバカヤロー、やめろー、と口汚く叫びながら、止まっては走り、ハンドルを風に合わせて切りながら、どうにか田園地帯を走り抜けたことがあった。
その他では、高速道路を走った時のこと。強風が吹いていなくても、大抵は風に流されて行きたい方向ではない方向へと流されることが多かった。決められた車線をただ走ることが、ものすごく困難だった。
オフロードバイクとオフロード用のフルフェイスヘルメットは、強い風には向いていない。オフロードタイプのヘルメットの大き目のバイザーは風に煽られては後ろにずれ、視界が顎の部分に遮られて見えなくなる。手で直しながら高速走行という危険極まりない走りを余儀なくされる。
遠くへ行きたいなら、風の中を快適に走りたいなら、選ぶべきオートバイは違っていたのかもしれない。なぜか、ずっとオフロードばかり乗っていた。変化することが怖かったのかもしれないし、実は自分に合っていたのかもしれないけれど。
もう過去の思い出だから、どうでも良いのだけど。
風のバカヤロ―と、強めの風には怒鳴ってばかりいたなと、ふと思い出した。
風になどなりたくなかった。
どこかに一度書いたっけ?・・・
★写真は九十九里浜、山形県湯浜温泉共同浴場。強風時の田園の写真などあるわけがないのです・・・
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